□ 分離不安とは?
分離不安とは、一定時間家族と離れて一人でいることで不安になり、一種のパニック状態になってしまう事です。
赤ちゃんの頃は大人がいないと生きていけないため、分離不安は生存本能としてみんな生まれつき持っているものです。そして通常は大人になるにつれて、分離不安はなくなっていきます。
でも子どもの頃からご家族とずっと一緒にいる子は、一人になる時間がありません。その結果、大人になっても分離不安がなくならないことがあります。そんな分離不安は、なくならないどころかより強くなり、吠える、破壊行動、不適切な排泄、過剰なグルーミングといった問題行動となる事があります。
犬においては男の子に多いという報告があり、猫でも一部で性差が報告されていて、やはり男の子の方が多いです。男の子の方が甘えん坊ということですね。
□ 分離不安の原因とは?
生活環境により異なりますが、大きく分けると以下のようになります。
- 家族と常に一緒にいる環境で育てられたため、一人での留守番に不慣れであること
- 家族のライフスタイルの変化(例えば転職など)により、動物が長時間の留守番を経験すること
- 動物への愛情が強すぎること※ご家族が在宅中の時と、不在の時とで違いが強調され、より不安が強調されることがあります
- 一人でいるときに何か怖い思いをしたこと
- 高齢で目や耳が効かなくなったり、病気などで不安が強くなったこと
□ 分離不安の治療法
分離不安の治療は結論から言うと留守番に慣れさせれば良いのですが、問題はどうやって慣れさせていくかです。
具体的には大きく分けて
- 行動療法
- 薬物療法
の2つがあります。
行動療法は結果が出るまで数ヶ月、あるいは年単位で根気よく続けなければいけない事が多いですが、薬物療法は比較的早く改善がみられます。どちらか一方に頼るのではなく、それぞれの長所を生かして治療を行なっていくと良いと思います。
□ 行動療法について
行動療法には色々ありますが、まず共通して言えるのは叱る事は全く効果がありません。動物はもちろん、ご家族の皆様にとってもイライラの原因となってしまいます。
ではどうすればいいのでしょうか?
- 動物が安心できる場所をつくる
- 帰宅時に動物が破壊行動、不適切な排泄をしていた場合は無心で片付ける
- 外出前と帰宅時はしばらく動物を無視をする(お留守番しててくれたからすぐ構ってあげたくなる気持ちは凄くよく分かりますが....)
- 外出するふり(上着を着たり、バッグを持ったり)をして、実際には出かけずに不安な気持ちに慣れさせる
- 散歩を多くする
といった事が挙げられます。
詳しくは診察や、爪切りなどお手入れのついでといった機会に直接お聞きください。もっと詳しくお伝えいたします。
□ 薬物療法について
色々な系統のお薬がありますが、基本的にはセロトニンを増やすためのお薬を使用する事が多いです。
人ではうつ病の治療にも使われるお薬のため、誤解を受けてしまう事も多いお薬ですが、当院では使用する前に正確な情報をお伝えしてから処方していきますので、ご安心ください。
埼玉県八潮市大瀬4-35-20
048-915-1677